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浄土真宗の歴史に学ぶ
(仏教研修会 第389回) 2007/3/25
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大谷影堂の寺院化 大谷を中心に門徒の統合を図る
第3代覚如上人は留守職の地位向上をはかるとともに、影堂を浄土真宗の
全門徒の本所(本山)にしようとして寺号を名乗る。
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唯善が破壊した堂舎は東国門弟が再建し、堂内に親鸞上人木像を安置した
が、墓塔は再建しなかった。覚如上人は父覚恵から留守職を継ぐ譲状をも
らっていたので、これを東国門弟に見せて、留守職に就任する承認を求
めた。
しかし、門弟たちはこのたびの騒動は覚恵・唯善の兄弟の争いに
よって影堂を破壊されたので、争いの再発をおそれ、覚如上人の留守職就任
に同意しなかった。覚如上人は門弟に宛てて影堂の正常化をはかる旨をしる
した十二か条の懇望状(願書)を示し、延慶3年(1310)に留守職に就任
した。正和元年(1312)に影堂を専修寺と称したが、のち本願寺と改め
た。建武3年(1336)南北朝動乱の兵火に本願寺は焼かれた。翌々年に古
いお堂を購入して移築した。
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覚如上人は元弘元年(1331)に『口伝鈔』を書き、三代伝持の血脈を表明
した。血脈とは仏法の継承を、身体の血筋が親から子へ、子から孫へと
受け継がれることに喩えたもので、浄土真宗の教えが法然聖人・親鸞聖人・如信上人
(親鸞聖人の孫)の三代にわたって伝えられたことをいう。
『口伝鈔』は親鸞聖人が如信上人に語り伝えた仏法の話を、覚如上人が如信上人から口
伝された、その内容を書きしるしたもので、このことは親鸞聖人の教えが如
信上人を通して覚如上人に正しく伝えられたことを主張するものである。
建武4年(1337)覚如上人は『改邪鈔』を著わし、親鸞聖人の教えにそむく異
端を指摘し、これを戒めた。そして親鸞聖人の正統血脈を伝える本願寺を真
宗門徒の中心にしようとした。しかし、覚如上人の構想は門弟たちに受けい
れられず、地方教団は独自の血脈を主張し、自立する姿勢を強くした。
以下にテキストの右ページ部分を記載します
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三代にわたる仏法の伝授
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親鸞聖人の影像の前で、静
かに遺徳をしのぽうと
した東国門弟は、留守
職の争奪や影堂の寺院
化などで、その敬慕の
思いをさまたげられた。
高田門徒は寺院化にと
もなう阿弥陀仏木像の
安置に強く抗議した。
そのため阿弥陀仏像を
いったん撤去したが、
その後また安置した。
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法然上人は中国の善
導が著わした
『観経疏』を読
んで感激し、も
っぱら念仏して
浄土に生まれる
道を選んだ。親
鸞聖人は法然聖人のもと
で学び、浄土真
宗を確立した。
その親鸞聖人の教え
は、孫の如信上人を
通して覚如上人に伝
えられた
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『口伝鈔』解説 (『註釈版聖典』)
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本書題号の「口伝」とは、口づてに伝えるという意味で、口授伝持・面授口決などというのと同じである。
冒頭に「本願寺の鸞聖人、如信上人に対しましまして、をりをりの御物語の条々」とあり、また第三代
宗主覚如上人自筆本の識語には「先師上人(釈如信)面授口決の専心・専修・別発の願を談話するのつい
でに、伝持したてまつるところの祖師聖人の御己証、相承したてまつるところの他力真宗の肝要、予が
口筆をもつてこれを記さしむ」と記されている。
これによれば、本書は、親鸞聖人が第二代宗主如信上人に
物語られた他力真宗の肝要を、如信上人が覚如上人に伝えられ、その面授口決の祖師聖人の己証の法門を二
十一箇条に分けて筆録し、聖人の教えを顕彰しょうとしたものであるといわれるのである。覚如上人が五年
前に編述された『執持鈔』には、如信相承は説かれていない。
本書にいたってはじめて法然−親鸞−如信
という三代伝持の血脈を主張し、法然上人の正しい教義の伝承は親鸞聖人においてなされ、さらにそれが
如信上人をとおして覚如上人に伝授されてあることを主張し、師資相承を明確にしようとされたのである。
すなわち、一には法然上
人門下の浄土異流の中心である鎮西・西山派に対し、その派祖の弁長・証空を本
書のなかで批判し、親鸞聖人の一流が正しく法然上人を伝統するものであることを示し、二には聖人の直弟
を中心とする門弟系の教団に対し、覚如上人を中心とする大谷本願寺が二宗の根本であることを顕示し、
三には真宗教義の中核が、信心正因、称名報恩義であることをあらわそうとされたのである。
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『三祖像』伝絵
上:大谷影堂 堂内には親鸞聖人の木造のみを安置(「親鸞聖人伝絵」東本願寺蔵)
右:善導大師 法然聖人 親鸞聖人の三祖座像(滋賀県・慶先寺蔵)と親鸞聖人 如信上人 覚如上人 連座像(西本願寺蔵)
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