(仏教研修会 第344回) 2002/10/20 浄土真宗の歴史に学ぶ

『歎異抄』が語る親鸞聖人11

1.『歎異抄』の第七条

第七条 現代語訳

 阿弥陀さまの救いを信じて念仏する人は、なにものにもさまたげられない、ただひとすじの道を行くものです。

 なぜならば、阿弥陀さまの本願を信じて念仏する人は、天地のあらゆる神さまが敬い、 また悪魔や邪教を信ずるものも、さまたげることはありません。またどのような悪事をは たらいていても、その罪の報いを受けることはなく、いかなる善い行いも念仏にまさるこ とはありません。それゆえ、念仏者は、なにものにもさまたげられない、ただひとすじの 道を行くものです。

 このように、聖人は仰せになりました。

第七条 原文
 念仏者は、無碍の一道なり。

 そのいはれいかんとならば、信心の行者には、天神・地祇 も敬伏し、魔界・外道も障碍することなし。罪悪も業報を感 ずることあたはず、諸善もおよぶことなきゆへなりと云々。

第七条 要旨
 念仏には不思議な徳がある。これをとなえる念仏者 は、その念仏の徳のお蔭で、さわり多い人生にありながら、 さわりをこえて歩む道があたえられている。

 その念仏の徳とは、あらゆる神々や悪魔も、またどのよ うな悪事も、さまたげることのない力をあたえてくれるも ので、この念仏の道を歩むものは、これまたなにものにも さまたげられることなく、迷いの世界をのりこえていく力 があたえられているという。