安楽寺 浄土真宗本願寺派 千葉山安楽寺
親鸞聖人御一代 第一回 仏教研修会2010
千葉昭彦
◎親鸞聖人御一代 第一回
  (妙音 平成21(2009)年秋版 千葉山安楽寺機関誌 掲載)
  (安楽寺報 平成21(2009)年脇町報恩講版 千葉山安楽寺機関誌 掲載)

まえがき 親鸞聖人の誕生

○まえがき
 千葉乘隆著「親鸞聖人ものがたり」を参考にして、シリーズで、解説します。
 これは安楽寺機関誌「妙音」「安楽寺報」に掲載した講義文の再掲です
千葉山安楽寺 千葉昭彦

 親鸞聖人の誕生から往生にいたるその生涯を描いた伝記絵巻「親鸞伝絵」正しくは「善信上人絵」(西本願寺本)がある。親鸞伝絵は、親鸞聖人の曽孫覚如上人が聖人の示寂後三十三年に当たる永仁三年(一二九五)に作ったもので、上下二巻から成る。親鸞伝絵の絵の部分だけを、掛け軸にした物を「親鸞絵伝」安楽寺には、宝暦年間新調の軸がある。文章だけを集めた物を「御伝章」という。

 長らく、親鸞聖人は、その存在に疑念を抱かれてきた。それは、真宗寺院以外に史料が皆無の状態にあったがためで、大正一〇年西本願寺の宝庫から妻恵信尼公の手紙一〇通が発見されたことによって、実在が証明された。この大正一〇年五月四日乘隆は誕生した。学者の道を歩む因縁を深く感じる。

  参考  恵信尼公の手紙(恵信尼消息)
○親鸞聖人の誕生
写真

左は親鸞聖人の誕生の地は京都東南郊外「日野」

 承安三年(一一七三)
 江戸時代に考定された「親鸞聖人正統伝」に四月一日(太陽暦五月二十一日)説が有力で、西本願寺では、この日に降誕会を厳修し、法樂能が催される。龍谷大学では、提灯行列があり、懐かしい思い出である。

 誕生の地は、京都東南郊外「日野」父は、日野有範母は吉光女と伝えられる。

 日野家は、始祖藤原鎌足七代の孫家宗、日野に法界寺を創立、家宗の五代の孫資業は日野を姓とし法界寺に阿弥陀堂を建立。日野氏は、代々、儒学と歌道をもって朝廷に仕えた。

 親鸞聖人は、幼名「松若麿」又は「鶴充麿」ともいう。母吉光女は、源義親の孫 父有範 有範の父経尹は、従四位下阿波権守の放埒により、有範は、皇太后宮大進に五位に止まった。職を退いて後は、日野南の三室戸に隠棲し、かなり老年まで生きていたようである。三室戸寺は、あじさい寺で有名。尋ねてみたい。