安楽寺 浄土真宗本願寺派 千葉山安楽寺
親鸞聖人御一代 第五回 仏教研修会2010
千葉昭彦
◎親鸞聖人御一代 第五回
  (妙音 平成22(2010)年秋版 千葉山安楽寺機関誌 掲載)
  (安楽寺報 平成22(2010)年報恩講版 千葉山安楽寺機関誌 掲載)

○法然上人の選択集
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 左上の写真は「信心諍論」 法然上人 左下の写真は「信行両座」

 法然は、撰択集に、「仏教は、聖道教と浄土教とに分類されるが。すみやかに宗教的自覚を得ようとするならば、浄土教を選ぶべきである。浄土教を選べば、その正行と雑行との二種の行のうち、正行を選ぶべきである。正行を修めようとするならば、正定業と助業のうち、もっぱら正定業を選び修めるべきである。その正定業とは、阿弥陀仏の名をとなえることである。阿弥陀仏の名をとなえたならば、弥陀物の本願によって、必ず浄土に生まれることが出来ると。もっぱら念仏をとなえることをすす めている。」しかし、法然上人の教えを誰もが、正しく理解していなかった。「信心諍論」と「信行両座」の二つの物語が「親鸞伝絵」に見える。
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 「信心諍論」は、親鸞の信心と、法然上人の信心が同じと、親鸞様は、主張したが、門弟からきつく意見された論争で、法然上人は「信心が異なるというのは、自力の信心についてのことであって、他力の信心は、仏よりたまわったものであるから、法然の信心も善信坊の信心も異なることなくただひとつである。信心がそれぞれちがうという人は、法然のまいる浄土とはちがった浄土に生まれることであろう。」と諭された。

 「信行両座」は、信不退(信心で浄土往生する)・行不退、(念仏の行をはげんで往生する)かを問うて座を選ばせた。信の座には、親鸞聖人と、信空、聖覚、法力だけで、他は全員行の座についた。法然上人は、信の座につかれた。親鸞聖人は、阿弥陀仏の本願のいわれを聞き、それを信じたとき、直ちに浄土に生まれる資格を得るとし、念仏の行をはげみ、称えた功績を積みかさねて、浄土往生を願うことを否定した