安楽寺 浄土真宗本願寺派 千葉山安楽寺
住職の地域活動 寺町案内人
◎寺町案内人(美馬市) ありがとうの交換で気づきのお手伝い
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 例えば兄と弟、あるいは父と子。どちらが先に生まれたか…。

 750年前開創の見事な本堂が目を引く美馬市寺町の安楽寺。住職・千葉昭彦さんにこう切り出され、首をひねっていると「我あるが故に彼あり、彼あるが故に我あり、という言葉がありましてね。つまり弟が生まれて兄になり、子どもが生まれて父になり−。同時なんですね。同じ土俵上で上下なく、お互いがあって成長できる」

 つまり全てが対等、という話はボランティア論に及び「サービスを受ける側も提供する側も、互いにありがとうが言える「ありがとうの交換」であることが大切」と話す千葉さんは、1996年、太古から江戸期までの史跡と歴史がある美馬を知って欲しい、と地域の有志数人とともにボランティアで「寺町案内人」を立ち上げました。  「昔から寺は中央と地方を結び、文化的素養も寺が取り次いでいた」と、本堂横に本格的な能舞台や茶室をつくり、例年6月には狂言、10月は能を上演。地域の中学生や高校生、外国人などを無料招待しています。

 また、かつて藍の衰退で養蚕に移行した時代に川の氾濫を防ぐため吉野川両岸に植えられ、生活用材や和傘素材として産業にも貢献していたものの、最近では放置状態の竹林を憂い、竹を活用する運動にも力を注いでいます。

 「年末には竹灯籠400本にロウソクを灯して並べます。見た人が『きれいやなあ』と竹に『ありがとう』の言葉をかける。竹をお手本に共生(ともい)きの命を考えてくれると嬉しい。寺町案内人の仕事はお寺の雰囲気の中で心を伝えること。心の案内と気づきのお手伝いができれば、と思います」。